絵が完成した時,頭を垂れた初体験。
群馬県妙義山。岩峰の尖った荒々しい山容の奇観から日本三大奇景の一つだ。
出会いは、2022年1月。友人に誘われて登り、何度も訪れることになった。
下から突き上げるような直線的な強いエネルギーが特徴的で、山の絵を描いたことのない私が無性に描いてみたくなった山だ。
屋外で墨汁と筆を持ち出し、全長1mを超えるパノラマを3月のまだ凍える早朝にスケッチした。近所のお爺さんが毛布を貸そうか?と声をかけてくれたりした。
元々、個展で台湾家族旅行と日本画の価値交換して頂いた方から、「古民家にある戸棚の引き戸の絵を描いて欲しい」と依頼を頂いていた。横長の絵になるので、パノラマの妙義山は見事にマッチした。
この絵は、都内3箇所、北海道に移動し制作することになった。時に野晒しになりながら。
以下、制作過程の備忘録。
2022年
3月 妙義山で墨スケッチに初挑戦。この上に絵具を乗せようと当初は考えていたが、スケッチを残したく転写することに。
4月〜5月
家なき子生活の為、八王子の公園でスケッチの転写作業、骨描き(こつがき)作業。生活せずに、ただ絵を描くだけの時間に感動し、潜在的自己が喜ぶ。そして、転写することで一次元をトルことができるのだと悟る。日本画の工程を敬う。
6月 胡粉、水干絵具で下地塗り 制作動画はコチラ
7月 北海道美瑛へ(大雪山の壮大さに驚く。でも描くのは妙義山。)
9月 水干絵具で大方の配色が決まり、背景を金箔仕上げに決定。ここまでは比較的迷うことなくスムース。
10月 岩絵具の段階へ。かなり慎重になる。
12月 中央の金洞山が完成。左側の金鶏山の手入れに悩む。
2023年1月
細部の美しさを保とうとして全体が弱い。存在を起こさねば、と意を決して潰す。絶望。また細部を描き起こしたり、潰した部分を取ったり、重ねたり。色のカオスが起こるもこれだ!という色を入れた時の喜びもひと塩、全体を見ると濁りまた絶望。
1月26日 完成(独り立ちというよりは発現した感じで慄いた・・・)
これまで制作前に、妙義山登山時に出会った奥の院の神様にご挨拶をしてから、描かせてもらっていた。
そして、完成した時というか、それが起きたから完成した、と言ったところなのだが、
全体を見ていたら、ふっと絵の妙義山から語りかけられた。具体的な言葉は分からないが、その現象が起こったということは、「存在」したので終わり、ということだ。
思わず、感涙しながら正座して「ありがとうございました。」と頭を垂れた。ああ、描かせて頂いた、、、と感謝しかなかった。私の制作の中でこのようなことは初めてだった。作品を自分の子供のように、その子が自立する瞬間が完成の時。という感覚だったからだ。
そもそも、絵を描くのはチャネリングに近い。そのため、物理的に筆をとることだけが描く作業ではなく、それ以前に整えるのが必須だ。自分を野生に戻し、思考をとる生活。北海道美瑛では、その環境が見事に揃っていて加速した。
作家生活のみで生きてきた人には不要かもしれないが、会社員生活11年が染み付いていた私にはこの段階に持ってくるまでが試行錯誤だった。自分に振り回されまくった。
<インスタグラム> yorecordar.tranceart
以下、2024年5月19日 追記
その後、北海道から東京の蒲田にあるアトリエ神楽にて、さらに加筆され、最終的には妙義山の石を送っていただき、
その石をすりつぶして仕上げました。
その後、とある企業の副社長室へ飾られています。
制作にご協力いただいた「いとのにわ」さんは現在、本気で子どもも大人も遊べる施設を再整備中でクラウドファンディング(寄付)を実施しています。私も作業に参加し、おいおい施設内に壁画も制作予定です。是非ご支援のほど、よろしくお願いいたします!コチラ
体験リターンには、2024/6/22-23に日本画ワークショップを開催します。
関連情報
LET IT HAPPENアンアスフラワー
YORECORDAR
回遊芸術家。1986年生まれ兵庫県出身。日本画ワークショップ開催など...|LET IT HAPPEN_アンアスフラワー制作,関連グッズ販売。お金の価値を問い直す価値交換を経て直感に赴くまま呼ばれるまま世界各地に飛んでいきます。
屋号 | yorecordar.com |
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代表者名 | 幸田 頼子 |
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